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今日俺が一人で近所の公園でリフティングをしてたら

1 :U-名無しさん:05/01/17 19:32:04 ID:6K1dKKyx,
いきなり2人組の外人が俺のボールをかっさらって
「カモン、ボーイ」
と言って、笑いながら手でチョイチョイってやった。
俺はカチンときたのでボールを取りに行った。
ボールを保持してる外人はフェイントをかけるような仕草をした。
俺はあっさりとひっかかり、かわされた。
なおも取りに行こうとすると、外人はもう一人の外人にパスした。
それから俺はしばらく二人にもてあそばれて、一度もボールに触れる事が出来なかった。
10分ほどすると、外人は満足したのか俺にボールを渡して二人で高らかに笑いながら去っていった。
その後姿を俺は呆然と見詰めた。
お尻がプリッとした、可愛らしい女の子達だった。友達になりたいと思った。

480 :U-名無しさん:2005/05/21(土) 11:28:41 ID:JzazN90L0
増嶋(笑)

481 :U-名無しさん:2005/05/21(土) 12:44:17 ID:J0tPR5Od0
森本(怒)

482 :U-名無しさん:2005/05/21(土) 13:17:57 ID:zqEPBGpe0
平山(消)

483 :U-名無しさん:2005/05/22(日) 22:34:14 ID:pjjjgGut0
その瞬間、鈍い音が敵陣にいる俺の耳まで届いた。
バーだ。バー直撃だ。助かった。俺は思わず安堵で腰が抜けそうになる。
だがほっとしている暇はなかった。そのボールは幸運にも小林さんの足元へ。
その小林さんからすばやくハーフウェーにいる本田さんへ。
俺はすかさず首を振って周囲を、前線の様子を確認。俺の周りには誰もいない。
首を戻したときにはもう本田さんからのパスが来ている。
決定機をものにできなかった相手が微妙に動揺しているのがはっきりとわかる。
もう残り時間は少ない。これが最後のチャンスかもしれない。
俺は迷うことなく、さっきマークがゆるくなってるのを確認した水野さんへパス。
水野さんが右サイドを駆け上がって、タッチラインすれすれでボールを止める。
そのままライン際をドリブルで持ち込む。
マークを緩めたミスに気づいた相手ディフェンスが懸命に戻って中を切る。
水野さんは中へ切れ込もうと、右、左と体を揺らして相手を揺さぶる。
俺は声をかけながらその水野さんの後ろへサポートに走る。
中を見る。水野さんにひとり、俺にひとり、相手が来ている。
二人引き剥がした分、さっきに比べればゴール前が手薄になっている。
水野さんが俺にボールを戻す。ボールが来るまでにゴール前をルックアップ。
相手のディフェンスラインの中、ニアに平山さん、ファーに森本。
その時、森本が俺を見ながら
バックステップを踏んでさらにファーに下がるのが見えた。

484 :U-名無しさん:2005/05/22(日) 22:38:36 ID:pjjjgGut0
森本、わかったぞ。お前の得意なあの動きだよな?
俺は森本を信じて水野さんからのパスをダイレクトでゴール前に蹴りこんだ。
平山さんがジャンプ。平山さんにあわせたボールと判断した
ディフェンダーがすかさず平山さんに競りかける。
だが、ボールはその頭のわずか上を通っていく。そうだ、そういうふうに蹴ったんだから。
さっきの森本のバックステップ、ファーに逃げる動きに、ディフェンダーがついていった。
その分、森本と平山さんの間のスペースが少し広がった。
平山さんの後ろのそのスペース。
ゴルフのアプローチショットよろしく、そこへぴたりと落とすのが俺の仕事だ。
バックステップにディフェンスがついてくるのを見た森本が、
今度は一転して正面へダッシュ、ゴール正面のスペースへ猛然と飛び込む。
平山さんの頭を越えたボールに森本のダイビングヘッド。
ボールは鋭角にワンバウンドしてゴール左隅に突き刺さった。
森本が起き上がりながら、左手を突き上げる。
そのまま駆け寄った平山さんと満面の笑みで抱き合う。
そこに水野さんが、前田さんが加わる。
試合を決める劇的な1点に日本の選手の輪ができた。
グループリーグ突破を確実にするゴールに、みんなお祭り騒ぎだ。
俺はそれを横目に、そのまま立っていた場所で、ゆっくりとストッキングをあげる。
体を起こしながら腰にそっと手を当てる。
モニカ見ててくれたか。意思の通じ合ったいいプレーだったろ。
俺もこれで少しは活躍したことになったよな。
時間はカードをもらわない程度にゆっくり使ったほうがいい。
俺は自陣に意気揚々と戻っていく日本の選手の集団を前に見ながら、
ゆっくりゆっくりモニカと話しながら歩いていく。


485 :U-名無しさん:2005/05/22(日) 23:39:36 ID:N1Z87MSQ0
とりあえず樋口を代表に呼べ。

486 :U-名無しさん :2005/05/22(日) 23:48:16 ID:QTHoXcFm0
樋口タン ハァハァ

487 : :2005/05/23(月) 03:48:06 ID:yKlF9dWi0
こんな面白い小説がタダで読めるなんて…涙
作者さんありがとう!

488 :U-名無しさん:2005/05/23(月) 21:57:57 ID:FazPOCM50


オーストラリアは死に物狂いで前にラッシュしてきたが、
俺たちは落ち着いて時間を使う。ほどなくして試合終了の笛が鳴った。
次の場所へ進むための切符を手に入れた報せだ。
日本のサポーターの拍手と歓声が聞こえる。
相手と握手を交わした後、俺たちは一団となってサポーターの基へ歩く。
スタンドで青が波のように揺れている。
ピッチからはこんな風に見えるんだ。みんなの顔が思いのほかよく見える。
サポーターが興奮さめやらずというように森本の名前を呼ぶ。
コールを浴びた森本が満面の笑みで手を振る。
フォワードはこういうときおいしいよな、と
俺はそれを横目で見て苦笑する。その時だった。
サポーターが俺の名を呼んでいた。
俺は思わず呆然と立ち尽くす。繰り返される熱いコール。
みんなが。俺の名を呼んでいる。
魂を抜かれたように棒立ちになりながら、
俺は自分の名前が繰り返し繰り返し呼ばれるのを聞いていた。


489 :U-名無しさん:2005/05/23(月) 22:00:50 ID:FazPOCM50
「ちゃんと応えなくちゃ」
いつのまにか隣にいた平山さんが柔和な笑顔を見せている。
「そうだよ、手ぇ振れよ」
森本もいじめっ子の親分みたいな笑顔で俺の背中を叩いた。
俺は深く頭を下げた後、二、三度ぎこちなく手を上げた。
声がさらに大きくなった。上げた腕が少し震えているのがわかる。
サポーターとピッチに別れを告げて、俺たちはロッカールームに戻る。
通路を歩く途中で森本が俺の隣に来た。
「おまえ、よく俺の意図がわかったな」
「森本の初ゴールはテレビで見てて印象に残ってたからな」
森本のJ初ゴール。バックステップでディフェンダーの視界から一瞬消え、
吊られて動いたディフェンダーがあけたスペースでのヘディング。
よくそんなもん覚えてるな、と森本が驚いたように言った。
憧れたからな、とは口が裂けても言わないでおこう。
「もっと俺にああいうボールをくれ。最高のボールだった」
横を見ると森本の真剣な横顔。
点をとるためには妥協しない、その意思が浮かび上がっている。
真顔だとこいつ、結構いい面構えじゃん。まあお世辞にも美男とはいえないが。
「わかってるよ。まだ次があるんだからな」
ああ、と日本の若きストライカーが隣でうなずいた。


490 :U-名無しさん:2005/05/23(月) 23:13:09 ID:FazPOCM50




「監督、おはようございます」
小熊は、おはよう、と言葉を返す。
声をかけてきたのはフリーライターの元山だった。
サッカーをメインにしてるライターで、
前回、前々回のワールドユース大会でも現地まで来ている。
ユースについても、普段から熱心に記事にしてくれていて、
取材を受けた回数は数え切れないほどだ。
スタッフや選手たちともすっかり顔馴染みになっている。
この商売をやっていると、メディアと常に友好的とはいかない部分もある。
チームの状況によっては、規制めいたものをかけなければいけない場合もあるし
批判をされればこっちも人の子、腹も立つ。
その記事が、根拠がなかったり誤解に基づくものだったりすればなおさらだ。
元山にもそういう部分が皆無というわけではなかったし、
関係者でも元山のことを悪く言う人間もいたが、
それでも大会の何年も前のチームの立ち上げ時から、
ほとんど他のマスコミが取材に来ないような強化合宿まで足を運び、
そのレポートを媒体を通じてファンに届けてくれていることを
考えると、小熊はやはり元山には感謝していた。
「まず、グループリーグ突破おめでとうございます」
ありがとう、と小熊は礼を言う。
「グループリーグ3試合を振り返ってみての感想はどうですか?」
小熊は少しだけ考える。

491 :U-名無しさん:2005/05/23(月) 23:14:54 ID:FazPOCM50
「やはり楽な試合はひとつもなかったな、と。
 対戦したオランダ、ベナン、オーストラリアのどこも、
 それぞれ持ち味がある強い、いいチームでした。
 その中で2位でグループリーグを通過したことについては、
 選手たちをほめてやりたいと思っています」
「一昨日の試合では、樋口君、森本君の
 若い二人のホットラインで見事な決勝点を奪いました。
 樋口君についてはブラジル遠征から監督が抜擢したわけですが、
 いきなりの出番で見事なアシスト。
 監督の期待どおりの活躍というところですか」
「期待どおりというか、ああいう場面で活躍できるのは
 それだけのものを持っているんじゃないですか」
小熊は一ヶ月前のことを思い出す。ジェフとの練習試合。
試合終了後、小熊は相手ベンチに足を運んだ。
通訳を通じて「今日はありがとうございました」と挨拶する。
分厚い手が差し出される。小熊はその手を握りながら、
その手に秘められた名将の辿ってきた時間に思いを馳せる。
激変した東欧の地図。大きく時代が移り変わる中で、
この手はサッカーの何を、どんな姿を見てきたのだろう。
「どう思われますか、うちのチームを?」
簡単な挨拶をニ、三交わした後、小熊は単刀直入に聞いた。
メディアの質問には難解な答えを返すこの監督も、
おそらく直接相対してたずねれば、
何かを答えてくれるだろうという確信があった。
チームを率いる人間が他人の意見を求めるというのは、
もしかしたら監督としては失格かもしれないが、
小熊は自分が妙なプライドにこだわらない人間だという自覚もあった。

492 :U-名無しさん:2005/05/24(火) 01:10:12 ID:e2ylFZic0
オシム(*´Д`)ハァハァハァハァ/lァ/lァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ \アノ \ア ノ \ア

493 :U-名無しさん:2005/05/24(火) 07:32:19 ID:ldP+sVYr0
ナケル 。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン

オシムはおれだけのものだ!!ヽ(`Д´)ノ ↑

494 :U-名無しさん:2005/05/24(火) 19:18:52 ID:zZMUWutG0
モニカの芸能界デビューはまだか?


495 :U-名無しさん:2005/05/24(火) 22:59:30 ID:BOXlxQyF0
相手は数秒だけ考えたが、
「中盤が固まっていないね」
「おっしゃるとおりです」
小熊がずっとこのチームの軸として期待していたFC東京の梶山は、
一縷の期待をこめてこの合宿に召集したものの、
結局怪我の具合がおもわしくなく、途中でクラブに返していた。
Jリーグでのプレイを見ても、試合勘が戻っていないのが明らかで、
怪我だけなら本番にまにあうかもしれないが、
試合勘も含めたプレイの質が、本番までに元に戻るのはまず無理だ。
梶山をあきらめなければいけないのは、小熊にとって大きな誤算だった。
また、今回のメンバーはJでレギュラーもしくは
ベンチ入りメンバーとして活躍している選手が前回大会と比べて多い。
それ自体は小熊にとって喜ぶべきことなのだが、
その代償として、候補となる選手たちに怪我が多発している。
Jの過密日程もあって、試合には出ているが慢性的な怪我を抱えている選手も多い。
また、そういった選手はクラブもユースの合宿に出すのを渋る。
その結果、小熊の想定するメンバーが顔をあわせて、連携を深める時間が確保できない。
結局、今回の合宿も戦術面ではチャリティーマッチの即席チームと大差ない有様で、
選手の能力の伸び具合を確認するだけになっているのが実情だった。

496 :U-名無しさん:2005/05/24(火) 23:01:18 ID:BOXlxQyF0
「中盤で軸となる選手がほしいね。
 技術ではなく、気持ちでチームの軸となる選手が」
さすがによくわかっている。小熊は無言でうなずくしかない。
選手の粒は揃っている。これから本番に連れて行く21人の選考には
頭を悩ませることになるだろう、という予感もあった。
だがその選考が、どの選手も、特に中盤の選手が、
他の選手との比較での選考になるだろうという予感があった。
あいつより、こいつのほうが調子がよさそうだ。
あいつより、こいつのほうが怪我がなくて計算がたちそうだ。
小熊がほしいのは、そういうものを超越した、
こいつだけはなにがあってもオランダへ連れて行きたい。
不安要因があってもこいつがいなければだめだ、と思わせてくれる選手。
そう思わせる存在がほしい。
それ以上、監督は何もしゃべらない。
時間もあれだし、そろそろおいとまするか、と小熊が思ったときだった。
「あのMFの、15番の彼は高校生だそうだね」
樋口のことか。小熊はうなずく。
「彼はサッカー選手に必要な勇気を持っている。それもたくさん。
 勇気は大切なものだよ」
そういうと名将は小熊の目を見てウィンクした。
年に似合わずチャーミングな人だ。
どうやら潮時らしい。小熊は礼を言って引き上げることにした。

497 :U-名無しさん:2005/05/24(火) 23:42:37 ID:+Gtpd07o0
オシムのお墨付き ハァハァ

498 :U-名無しさん:2005/05/25(水) 01:25:15 ID:YfeYP2Fp0
俺のオシム(*´Д`)ハァハァハァハァ/lァ/lァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ \アノ \ア ノ \ア

499 :U-名無しさん:2005/05/25(水) 06:50:13 ID:fbDChibL0
オシムが日本を救う!

500 :U-名無しさん :2005/05/25(水) 20:42:39 ID:uFjKXQN40
おもしろいです。
どきがむねむねです。

501 :U-名無しさん:2005/05/25(水) 21:20:27 ID:fnwqosZK0
おもしろいサッカー小説って
他にネットにないですか?

502 :U-名無しさん:2005/05/25(水) 21:30:16 ID:ZGbbfm5S0
あかん。またにやにやしてきた

503 :U-名無しさん:2005/05/25(水) 23:16:45 ID:PB006YRG0
クラブハウス目指して歩きながら、小熊は物思いにふける。
俺の目もなかなか、ということか。
ブラジル遠征のポンチプレッタ戦。前半で決まりかけた試合を、
後半実のあるものにしたのは樋口の投入だった。
他のメンバーの集中が切れかけた中、ひとりで走り回ってプレスをかける。
ボールを奪えば思い切りよく前へ飛び出していく。
それを見た他の選手も動きがよくなり、プレーが積極的になっていった。
候補選手の中で彼が唯一人、ミスしても失うものがない
チャレンジャーの立場であったことを差し引いても、
あの試合で樋口が流れを変えたことは評価できると考えていた。
そして今日のジェフとの試合。樋口をボランチ起用したのは、
梶山の離脱に伴う予定外の事態だったが、
小熊が感心したのは、周囲に違和感を感じさせずプレーしていたことだ。
元々はただの公立高校の生徒。
ブラジル遠征は経験済みとはいえ、今日の相手は正真正銘のJクラブのトップチーム。
レベルを考えても、ゲームの中で浮いてしまっても不思議はないのだが、
そこにいるのが当然であるかのように堂々とプレーしていた。
攻撃は控えろ、と小熊が指示をしたこともあって、
目を見張るようなプレーはなかったが、
試合の雰囲気にすっかり溶け込んでいたのが印象的だった。
樋口の抜擢に疑問を投げかける声は、マスコミのほか
協会内部からも小熊の耳に届いていた。
協会の育成システムをほとんど経験していない樋口の起用は、
ある意味、協会自身の育成システムの自己否定につながる部分もあり、
関係者にとって微妙に癪に障るものらしかった。
だが・・。小熊の腹は固まりつつあった。

504 :U-名無しさん:2005/05/25(水) 23:17:42 ID:PB006YRG0
「監督?監督?」
元山の声に引き戻される。すっかり自分だけの世界に入り込んでしまった。
小熊は元山に詫びる。
「監督、疲れてるんじゃないですか?3試合怒鳴りっぱなしでしょうから」
小熊の目の前で元山が軽やかに笑う。
いまもきれいだが、この女も若い頃は相当な美人だったに違いない。
言い寄ってくる男にも不自由しなかったろうに、
こんなサッカーの試合追いかけてばかりいたんじゃあ、
男も見つからないぞ、と言いたくなるのをさすがにぐっとこらえる。
そんなことを口にしたらセクハラで大問題になる。
「大丈夫、大丈夫。で、どんな質問だったっけ?」
「今後の樋口君の起用についてはどうですか?
 スタメンもありうるんでしょうか」
小熊は首を振り、
「いまのところはまだ連戦に耐えうるだけのスタミナがない。
 他にスタートを任せられる選手もいるし、
 彼については、後半から流れを変える役割を期待している。
 もっとも、勝ち上がっていけば、疲労も蓄積するだろうから、
 そのときに応じて、状態のいい者を起用していくことになると思う」
外国に来ている以上、報道が直接選手の目に触れることはまずないが、
メディアの選手への直接取材の中で、ここでしゃべったことが
選手への取材スタンスに影響を与え、それを選手が敏感に感じ取ることもある。
日本にいた選考段階であれば、それを計算して発奮を促すこともあるが、
本番に突入した今は、よほどのことがない限り、
無用な刺激は与えないにこしたことはない。
結果、起用に関するコメントはどうにでもとれるような内容にぼかしておく。


505 :U-名無しさん:2005/05/25(水) 23:18:29 ID:PB006YRG0
「明日はベスト8をかけて、グループCを2位で突破したモロッコとの対戦になります。
 どのような布陣で臨まれる予定ですか?」
「怪我でダメ、という選手はいないので、
 いままでの先発をベースにした布陣になると思う。
 とはいえ、3試合をこなし、今回は移動もあって、
 選手も疲労が抜けていない面もあるのでそのへんは臨機応変に行くつもりです」
本音を言えば、中盤はまだ確固たるスタメンが決まっていない。
グループリーグを終えてもその状態が続いているのは、非常事態とも言えた。
トップ下には水野と兵藤、どちらも捨てがたいが、
こっちへ来てから兵藤が調子を落とし気味なので、
3戦目は水野をトップ下で起用して、ある程度の正解は出たが、
次の試合も水野の先発で行くのか。
右サイドは中村北斗を使ってきたが、ここにカレンを入れて、
2トップの一角に原を入れて試合を始めるオプションも小熊は選択肢に入れている。
ボランチは本田、杉山の二人で決まりだが、
水野をトップ下に入れた場合、兵藤を杉山に代えて先発させる手もある。
これに加え途中交代の切り札、森本と樋口。
彼らが入ったときの組み合わせまで考えれば、バリエーションはさらに増える。
つくづく連携を深める時間を確保できなかったのが惜しまれた。
とはいえどの国の、どのカテゴリーの代表監督もそれは思っていることなのだろうが。
「明日の試合に向けての抱負をお願いします」
元山の言葉に、小熊は遠く日本で試合を見てくれるサポーターに語りかける。
「目標はベスト4ですので、これで満足するわけにはいきません。
 いい試合をして、そして勝ちたいと思います」

506 :U-名無しさん:2005/05/26(木) 22:40:40 ID:vSJeOGsV0
いい雰囲気だな。ピッチに足を踏み入れるとそんな気持ちになった。
グループリーグ3試合を戦ったケルクラーデを離れ、
今日の舞台は、アルケスタジアム。
相変わらず日本の熱心なサポーターこそいるものの、
観客席全体は閑古鳥が鳴いている。
ここはピッチと観客席の距離がとても近く感じる。
スタンドの傾斜がきついせいもあるのだろうか。
ピッチから見ると、まるで壁のように立っている。
ラインの外はすぐフェンスで囲まれていて、
気分的にはスケート場のリンクの感覚に近い。
しかしこれがヨーロッパのスタジアムの雰囲気なのか。
日本にもいいスタジアムはあるが、やはり何かが違う。
いったいその違いはなんなのだろう。
やはりこれが歴史の重みというやつなんだろうか。
俺は試合と関係のないことにあれこれと思いをはせる。
こういうスタジアムに来ると、サッカーが、少なくともプロのサッカーは、
ショーでありエンターテインメントであることを実感する。
俺たちは差し詰め闘牛士みたいなものだ。
観客の視線の先で、俺たちは体を削りあい、技を競い合う。
きっとエールディビジの試合では、熱くなったサポーターが、
絶叫のような野次を飛ばし続けるのだろう。

507 :U-名無しさん:2005/05/26(木) 22:41:27 ID:vSJeOGsV0
そんな熱狂とプレッシャーのるつぼの中で、
客を満足させるプレーを見せたものだけが、このピッチで生き残っていける。
日本にこんなスタジアムがあったら、
サッカーをとりまく雰囲気もまた変わっていくのだろうか。
当然のことながら、今日も俺はベンチスタートだ。
オーストラリア戦までは、せめて一度はピッチに立ちたい、と思っていたのが、
いざ願いがかない、ピッチに立ってみると、
もう一度、もっとあの場所へ、という気持ちが止まらなくなった。
出場機会への渇望は、いままでよりもむしろ今日の方が強い。
既に3試合を消化し、最後のオーストラリア戦から、中二日。間には移動も挟んでいる。
今日はフォワードの一角にカレンに代えて原さん、
そしてボランチは杉山さんが外れて兵藤さんが入るスタメンだ。
昨日の前日練習を見ても、グループリーグで長い時間を戦ってきた
先発組に疲労が蓄積しているのがはっきりと見てとれた。
まちがいなく選手交代で動きがある展開になる。
そのとき呼ばれるのは誰か。


508 :U-名無しさん:2005/05/26(木) 23:49:01 ID:AXCJcym30
作者タンは相当なサッカー通だよな
でないとこんなの書けんよ

509 :U-名無しさん:2005/05/27(金) 01:05:41 ID:gIj+YKA60


510 :U-名無しさん:2005/05/27(金) 10:08:40 ID:fsm/amYBO
早く続きが読みたいよ!

511 :U-名無しさん:2005/05/27(金) 21:53:52 ID:3PKkvCg60
まあな
でも、そういう気持ちがあるから余計に面白く読めるわけだからな

512 :U-名無しさん :2005/05/27(金) 22:16:06 ID:BP/yBakX0
今の代表には樋口が必要だ!

513 :U-名無しさん:2005/05/27(金) 23:33:11 ID:1vQSnpEP0
試合がはじまって、すぐにやばいな、というムードがベンチに漂いはじめた。
相手の仕上がりが明らかに日本よりいい。
モロッコは、中三日と日本より一日多く休養がとれている。その差が如実に出ている。
また技術と戦術の方もしっかりしている。
昨日の前日ミーティングで、モロッコのグループリーグの試合をビデオで見た。
小熊監督は相手のプレーを解説しながら
「かつてアフリカといえば、飛び抜けた身体能力だけが
 持ち味だった時代があったが、それは過去の話だ。
 むしろ、いまアフリカを勝ち上がってくるチームは、
 よく整備された戦術と組織をベースにしていることが多い」
と言っていたが、その言葉どおり中盤でショートパスを駆使して、
細かくボールを動かすことで日本のプレスに的を絞らせない。
このオランダワールドユース、アフリカからの出場は4チーム。
モロッコは大陸予選も兼ねたアフリカU-20選手権で4位。
この前、グループリーグで戦ったベナンは3位通過。
一見、アフリカの中ではくみしやすいチームなのかと思うが、
準決勝は、決勝でエジプトを破って優勝したナイジェリアと2−2のドロー。
PK戦で敗れて3位決定戦に廻り、そこでもベナンと1−1のドロー。
そのPK戦で敗れての4位であり、
アフリカ勢は実力的には横一線と見るのが妥当だろう。
むしろアフリカU-20選手権は地元開催でホームの利があったベナンよりも、
モロッコのほうが客観的に見たチーム力は上ではないか、
というのが監督の見立てだった。

514 :U-名無しさん:2005/05/27(金) 23:34:06 ID:1vQSnpEP0
細かいパス回しの連続に、スタミナの消耗を考えて追い回すのをセーブすると、
余裕ができた中盤からすかさずフォワードに長いくさびのパスが入る。
この9番が長い手足を生かして、日本の選手のチェックを
ものともせずに、しっかりとボールをキープする。
9番が要注意だというのは、昨日のミーティングでも言われていた。
アフリカU-20選手権では5ゴールを決めていて、チームの得点源だ。
その中には準決勝でナイジェリアから奪った2ゴールも含まれている。
日本の選手が囲んで奪いに行くと、
手薄になったスペースに2列目から選手が飛び出してくる。
またはサイドに大きく散らされてゴール前が脅かされる。
すぐに小熊監督の絶叫がはじまった。
「本田ー、9番をしっかり見ろ、9番だ、しっかり見るんだ!」
「平山、追え!前線からしっかり追え!そうだ、その調子だ!」
まずディフェンスを固めろという小熊の指示。
その檄に応えるように、本田さんはフォワードへのマークを強め、
平山さんは前線で懸命に走り、パスコースを切る。
だが、相手の技術が実にしっかりしている。
プレッシャーを受けても冷静にボールを回す。
距離をぴったり詰めてもなかなかボールを奪えない。
モロッコという大きな大会であまり名前を見ないような国の選手でさえ、
これだけの技量を持っているという事実に、改めて世界は広いと思う。
世界で勝つと口で言うのは容易いが、それがどれだけ難しいことか。
さらにモロッコは技術だけでなく、組織の面でも統率が行き届いている感じだ。
誰かがボールを持つと、ボールを持っていない選手も
スムースに動いてパスコースを確保する。
その連動には相当訓練してきてるな、と思わせるオートマチズムを感じさせる。

515 :U-名無しさん:2005/05/27(金) 23:56:28 ID:cwEzkGTL0
も、モロッコばかにすんな!

516 :U-名無しさん:2005/05/28(土) 03:33:00 ID:Tv4RhNzY0
>モロッコという大きな大会であまり名前を見ないような国の選手でさえ、
>これだけの技量を持っているという事実に、改めて世界は広いと思う。

そう、そうなんだよな〜
なんで海外の選手はトラップ一つとってもあんなに正確で、こっちの選手は
あんなに下手くそなんだろう……

517 :U-名無しさん:2005/05/28(土) 10:43:54 ID:EzAL3SWJ0
相手フォワードが素早い反転から、ゴール下隅のいいコースへ飛ぶシュートを放つ。
これは西川さんが好セーブ。横っ飛びで左手を伸ばしてはじき出す。
3試合を消化して西川さんの勘もかなり冴えてきている。
次の決定機は前半15分過ぎ。モロッコが右サイドに展開。
それまでは徹底してフォワードの頭にあわせてきていたのが、
一転グラウンダーの早いボールを放り込む。
虚をつかれた日本ディフェンスの反応がほんの少し遅れる。
前に飛び出す西川さん。その体の先で、
相手の9番が足を伸ばす。つま先に当てたシュート。
西川さんの体の下をすり抜けたシュートは、左のポストをかすめて外れた。
相手選手が頭を抱えて悔しがる。
シュートが外れるとベンチからも一斉にふう、という安堵の吐息が漏れる。
前に立っている小熊監督も寿命が縮んだ、という表情だ。
ここで先制されるとこの後の試合展開が非常に苦しくなる。
このビッグチャンスを外して流れがこっちへ向いてくれれば、と思ったが、
モロッコは気落ちすることもなく、しっかりとボールを回している。
日本が相手の中盤からボールが奪えないので、
自信を持ったモロッコの両サイドが次第に高めの位置どりになっている。

518 :U-名無しさん:2005/05/28(土) 10:45:54 ID:EzAL3SWJ0
その分、こっちの3バックの両脇がそれぞれのサイドに少しずつ引きだされている。
そうすると逆に今度は中央の2トップへの圧力が薄くなり、チャンスを作られてしまう。
それを見たボランチがディフェンスライン近くまで引くようになり、
サイドも中央も劣勢と見たうちの両サイドもじわじわ下がって守備をする。
守備にさく人数が増えた分、なんとか得点を許さず持ちこたえているが、
全体がじわじわと下がり、日本の選手が自陣に押し込められていく。
何度か日本のサポーターの悲鳴が響いたが、
奇跡的にいくつかの決定的なシュートは、ゴールを外れてくれた。
小熊監督が前半で動くとすれば、先制されたときだ。
0−0でいったならば、延長もあるこの試合、
手元の3枚のカードをすぐに切ってくることはしないはずだ。
前半終わりに近づくと、モロッコが
ポゼッションこそ落とさないものの、若干ペースダウンした。
チャンスは多く作れているが点が取れない状況を見て、
勢いで突っ込み続けるだけでなく、一度クールダウンして頭を冷やそう、というところか。
日本もそれを機に、選手同士が声を掛けあって布陣を立て直すが、
ようやく得た休息に一息というところで、ボールを奪って攻め込むには至らない。
読みどおり、0−0では小熊監督は当然動かない。
そのまま前半終了の笛が鳴った。
杉山さんが呼ばれる。おそらく疲労からか動きのよくなかった兵藤さんと交代か。
まだだ。いまはただ熱を溜めるとき。俺は自分に言い聞かせる。

519 :U-名無しさん:2005/05/29(日) 01:08:44 ID:p9IUDOQW0
ロッカールームで小熊監督から指示が出たのだろう。
後半になると家長さんのポジショニングが目に見えて下がり目になった。
前半はうちの左サイドからクロスをあげられることが多く、
左のDFの水本さんが対応に終われまくっていた。
ここは人数をかけてまず相手の右サイドを封じ込もうという狙いか。
その分、フォワードの原さんがやや左寄りの位置。
右サイドの中村さんもやや高めの位置から、
時折中に絞りながら相手の中盤の選手に絡んでいく。
全体が少し左に寄った斜めに右上がりの布陣。
左は捨てて右からゲームを作ろうということか。
だが、後半もモロッコのペースでゲームが進んでいる。
ディフェンダーの一瞬の隙をついて強烈なミドルシュートがゴールを襲う。
西川さんが本気でダイブ。ボールは伸ばした左手の先を通り抜け、
そのままゴール裏のフェンスにあたって大きな音を立てた。
枠に行っていたらやばかった。ピッチのみんなが肝を冷やしたのが伝わってくる。
さらに西川さんのパントキックを相手のボランチが奪うと、
即座にこっちの左サイドへ放り込む。
先にボールに追いついていたのは水本さんだったが、
後ろから追いかけてきた相手の右サイドが、
水本さんを引き倒して強引にボールを奪った。
本田さんが、増嶋さんが、主審と線審にファールをアピールするが、
審判は小憎らしい無表情で首を横に振るばかりだ。
日本の守備陣がパニックを起こしながら一斉に戻る。


520 :U-名無しさん:2005/05/29(日) 01:10:30 ID:p9IUDOQW0
増嶋さんが内を切りに来るのを見た相手は、いったんフェイントを入れて、
増嶋さんの足を止めてから、中央で待つフリーの9番へ。
相手の左足が振り抜かれるその瞬間、小林さんが猛然とスラィディング。
小林さんの足にあたってはじかれたボールを、
杉山さんがとにかく外へ、とダイレクトで大きく蹴り出した。
ピッチでは小林さんが、みんなによくやった、とぺしぺし頭を叩かれている。
今日何度となく惜しいシュートを放っている9番が
悔しそうに何事かを叫んでいる。
しかし、これだけチャンスを外してくれれば、
いくら地力の違いはあっても、一度は流れが回ってくるはずだ。
攻めて攻めて決定機を作りながら点が入らないのは、気持ち的にしんどいものだ。
一度、流れをつかめれば、モロッコを崩せる可能性は低くない。
後半も15分が過ぎたそのとき、
「樋口!」滝沢コーチから声がかかった。今日は俺が先か。
立ち上がった俺のケツを隣に座っていた森本が叩いた。闘魂でも注入してくれるのか。
小熊監督の指示を聞く。
「そろそろモロッコは攻め疲れが出てくるはずだ。
 そこをお前の粘っこいプレスでつぶして、流れを引き寄せろ。
 うちがボールを奪って回せるようになれば、
 相手の疲労はどんどん大きくなっていくはずだ。
 そこを狙ってラストパスを通せ。
 お前ならこの試合の流れを持ってこれる。いいな」
頭の中で復誦。わかったとうなずく。
「この前と同じように水野が右サイドに回れ。
 お前は水野のポジションに入れ」
オーストラリア戦と同じ形だ。大丈夫、理解できている。

521 :U-名無しさん:2005/05/29(日) 17:19:30 ID:Kwcb6yST0
あげ

522 :U-名無しさん:2005/05/29(日) 23:55:36 ID:BX/21d9X0
タッチラインのそばに立つと、サポーターたちが
俺の名前を呼んでくれているのが聞こえてきた。
この前の試合でも呼んでくれていたんだろうか。
それとも俺が緊張していて聞こえていなかっただけなんだろうか。
このスタジアムは距離が近いからよく聞こえるのか。
中村さんとの交代。手を軽く合わせて気合いを引き継ぐ。
ピッチへ走り出す。芝が厚い。高い絨毯の上を歩いているような感触だ。
体を回転させながら、二、三度急停止のステップを踏んでみる。
水野さんに指示事項の伝達。お前が入ってきた時点でわかってる、と
いうような表情で水野さんがうなずく。
試合がはじまる。
相手の中盤がボールを持つ。ダッシュで間合いを詰める。
相手が元気のいいのが入ってきやがった、というような醒めた目で横にはたく。
サイドが引いてしまってる分、前にスペースがある。
俺は懸命にダッシュしてそのスペースを埋める。
お前、そんなことしてボール奪えるわけないだろ?
ボールがさっきの選手のところへ戻っていく。
俺はもう一度そのボールを追いかける。
少し前日本人は勤勉な民族だと、言われていた。
それは当たってるかもしれない、とボールを追い続けながら俺は思う。
ブラジル遠征、そしてこの前の試合、
先にプレーが荒くなったのはいつも相手の方だった。
いつまでもあきらめずにボールを追い続ける力、
それは遺伝子レベルでも俺を支えているのかしれない。

523 :U-名無しさん:2005/05/29(日) 23:58:15 ID:BX/21d9X0
相手の左サイドハーフが中に寄ってボールを受けた。
杉山さんが見る。俺が後ろからつぶしにいく。
サイドハーフの選手が空けたライン際のスペースを
サイドバックが風のように上がってくる。
パスが通るが水野さんのマークは外れてない。
サイドでの攻防。俺はボールと、中央にいる相手選手の動きを見るため、
せわしなく首を振って確認する。
相手のサイドハーフと杉山さんがそれぞれ加勢に行く。
2対2の攻防。だがボールを奪ったのは水野さんだった。
水野さんからのパスが来る。周囲に人はいない。
今日のファーストタッチ。気持ちいいくらいボールが足についた。
調子いいかも。俺はそっと自画自賛する。
左サイドから中央にすぅーっと流れてきた家長さんがボールをもらえる位置にいる。
すかさずインフロントの早いパス。
センターサークルの手前で家長さんが前を向く。
相手はセンターバックのふたりに、右サイドバックがしっかり残っている。
右の中盤の二人も十分戻れる位置だ。
家長さんは相手の攻め上がりで空いている右側へドリブルで逃げながら上がりを待つ。
ちらりと横を見ると、さっきボールを奪われた、敵の二人が歩いている。
監督のいうように攻め疲れが出ているのかもしれない。
家長さんがハーフウェーを越えたところで、テンポを落とす。
上がりを待っている。くそ、さぼらせてはもらえねえ。
俺は体にむち打って走るスピードを上げる。
左サイドに向けて斜めに走り、ハーフウェー手前まで
たどり着いたところで、家長さんからパスがきた。

524 :U-名無しさん:2005/05/30(月) 20:39:05 ID:9bYjUgGB0
☆ チン     
               
       ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < モニカまだ〜?
            \_/⊂ ⊂_ )   \_____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
       |  ペリカン便  |/


525 :U-名無しさん:2005/05/30(月) 22:45:47 ID:Zp6v2WIy0
前線には平山さんと原さん。だが、しっかりと3人のディフェンダーが見ている。
その手前にも3人の敵。相手の人数は足りている。
どうするか、完全にスローダウンして後ろにボールを戻すか。
ペースを落ち着かせ、自分たちの流れを引き寄せるという意味では悪くない選択だ。
中を向き、視野を確保する。そのとき、ライン際を疾走する水野さんの姿。
気分的にはオーバーラップといっていい長い距離。懸命に上がっている。
胸が熱くなる。だが俺のいる場所からは距離がある。
俺は全身の力をこめてていねいにサイドチェンジのボールを蹴った。
ボールは思い通りの軌跡を描き、右サイドへ飛んでいく。
きれいに蹴られたサイドチェンジのボールは、
それだけでなぜか人の心に美しいと感じさせる。サッカーの不思議の一つだ。
2トップの二人をケアしていた分、
サイドにはちょっとしたベルト程度のスペースが残されている。
全力で走る水野さんの足元に俺のボールがどんぴしゃで入る。軽い満足感。
にわかに前線の動きが慌ただしくなる。
相手ディフェンスが一人、ゴール前から離れて水野さんをケア。
それにともなってゴール前でマークの受け渡し。
家長さんが、俺がゴール前へ走り込む。それを確認する相手の視線。
水野さんが相手に寄せきられる前に早めにクロスをあげた。
平山さんが飛ぶ。相手も飛ぶ。どちらの頭に当たったかわからないボールが
走り込む俺の前に転がってくる。エリアまではまだ5メートルくらいある。
ボールとの距離を測り、前を見る。少し遠いが、ゴール左隅が見える。
行ったれ。左足でミドルシュート。

526 :U-名無しさん:2005/05/30(月) 22:47:26 ID:Zp6v2WIy0
だが、このキックは芯を食わず、ボールは詰めてきた相手選手に簡単に弾かれる。
そのボールを家長さんがトラップ。俺は少し迷ったが、
バックステップで下がって前に勝負できるスペースを作って、ボールを待つ。
家長さんが俺のほうを見る。蹴った瞬間に驚き。ボールが俺の頭を越えて飛んでいく。
ボールの行方を追うと本田さんが走り込んできていた。
さっきのクロスで中に絞った分、今度は左サイドにもスペースができていた。
家長さんが右に流れたのを見てとった本田さんの華麗な攻め上がり。
自分たちでやっていてもわくわくするような展開だ。
本田さんはサイドに開いて中を向くと、ドリブルで持ち込む素振り。
それを見た相手の選手がたまらずひとり飛び出してくる。
右へ、左へ、相手のディフェンス陣を振り回す。
そして相手の守りを一枚ずつ引き剥がしていく。
相手が出てきたのをみた本田さんは、ノーステップでクロスをあげる。
ニアに走る平山さんにあわせたボール。
平山さんの前には相手ディフェンスは飛び込めてない。打てる。
斜め後方へバックヘッド気味のシュート。
キーパーが反応できない。俺は思わずゴールの期待に息を呑む。
だが、シュートは惜しくもゴールの角に当たってラインを割った。
平山さんが思わず頭を抱える。この試合初めての決定機らしい決定機。
惜しい。けどいまのプレーができるなら、絶対にまたチャンスはある。


527 :U-名無しさん:2005/05/30(月) 22:54:33 ID:iXQ2aimN0
それが平山クオリティー

528 :U-名無しさん:2005/05/31(火) 08:31:32 ID:XHihJdhY0
 

529 :U-名無しさん:2005/05/31(火) 08:56:59 ID:YcrPfxTS0
ボールは友達!

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